心理発達コラム
不登校への対応方法や目標設定はどうすればいい?
特別なことではない不登校、誰にでも不登校になる可能性はある?
特別なことではない不登校、誰にでも不登校になる可能性はある?
令和4年度の文部科学省の調査によると、
つまり、35人学級と考えた場合、小学校は2クラスに一人は不登校が在籍し、中学校では、1クラスに2人は、不登校の生徒がいることになります。
また、不登校とは「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」となるので、30日未満の児童生徒数を含めるともっとの人数になります。
文科省は、調査結果からは、令和3年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症によって学校や家庭における生活や環境が大きく変化し、子供たちの行動等にも大きな影響を与えていることがうかがえるとしています。
もし、そんなことがあったらどうしたらいいのか?について書いていきます。
不登校になったら保護者はどう接したらいい?
不登校になったら保護者はどう接したらいい?
以前は、そっとしておけば、自らの力で立ち直るので、登校刺激も与えずにおきましょうという考え方が主流でした。確かに、現在も、そういう対応で、よくなるお子さんもいらっしゃいます。しかし、刺激を与えずにいるというのは、親も教師も熱心であればあるほど、相当な努力がいりますし、
刺激を与えない=何もしない、という風に考えてしまうと、ますます、関わりにくくなってしまいます。
また「いつか大人になりますよ」だけで後は本人に任せるのでは、難しいところがあります。
よくしてしまうのが原因探しですが、答えを見つけたつもりになっても、後悔だけ残ってしまったり、
親が自分を責めてしまうだけで、今、どうするのがベストか?という答えがでない場合も多いです。
まず、できることは、お子さんと何気ない会話や時間を過ごすこと、
しつこくない程度に、今どう思っているか聞くいて理解してあげて認めてあげること、
その時に、上から目線ではなくて、大人は、どう思っているか、ちょっとだけ伝えてみること。
それを時間をかけて焦らずじっくりやっていきましょう。
大切なのは、原因を探しや、「不登校は、こう対応する」といってマニュアル的な本や情報を集めることではありません。
本を読んで分かったつもりになっても、目の前のお子さんの声は聴けないです。
まず、少しずつ会話をしてみましょう。
そして、お子さんの話ができるような余裕のある状態、心の隙間を自分自身にも作りましょう。
保護者だけが、抱え込んだりせずに、周りの人にも協力を得ながら少しずつ進んでいきましょう。
近くにスクールカウンセラーが利用できそうなら活用してみることも大事ですし、
ここケットでもお手伝いできることがあるかもしれません。
小学校の低学年で不登校になった時の対応方法は?
小学校の低学年で不登校になった時の対応方法は?
小学校低学年1年生や2年生で不登校になる場合で考えられることは、まだまだ家で親に甘えたい一緒にいたい。
そんな気持ちが強くなっている場合があります。
そんな時は、保護者が付き添い登校をしてみるのも大事です。
もしかしたら、教室までついていかないといけないかもしれないですが、
しばらく続けていると、自然に一人で過ごせるようになることも多いです。
まずは、焦らずいっしょに行ってっましょう。
それでもなかなか離れられない場合もあります。
そんな時は、保護者も無理せず休まないといけない時は休みましょう。
また、時には用事で学校に行けないから、「この日だけは頑張ってみる?」
と言ってみたり、「保健室で待っているから教室で頑張ってね」など、少しずつ離れられる練習をしてみましょう。
ただ、無理にできるだけ早く離れようとすると、そういう雰囲気を感じ取って余計に離れにくくなったりもします。
”不安なんだろうな” ”いつか、離れられたらいいのにな~”くらいの感覚が大事です。
また、学校とも相談しながら対応をしていきましょう。
保護者だけで抱えまず、一人で頑張り過ぎず、
担任や管理職やスクールカウンセラーなどにも上手く頼りながら対応をしていきましょう。
ここケットではそういった場合の保護者の気持ちの安定や学校との連携の仕方やタイミング、
お子さんのカウンセリング(遊戯療法的なアプローチ)もしています。
小学校の高学年から不登校になったら時の対応方法は?
小学校の高学年から不登校になったら時の対応方法は?
小学校4年生、5年生、6年生で学校に行きたくない場合は、
勉強が嫌だったり、友だち関係が上手くいかない、担任の先生と合わない、
クラスが合わないなどの様々な原因がありますが、
勉強ができない自分が恥ずかしいとか、
友だちと上手くいっていない自分を見られたくない。
先生に認めて欲しいのに見てくれない。
また、自閉症傾向がある場合も、徐々にみんなと上手くいかない感じに気が付いてくるかもしれません。
周りと比べることで、学校に行くのがしんどくなっている場合もあります。
しかし、そういった事を上手く言葉にできなくて、なんとなくしんどい。
くらいにしか言えない場合もあります。
とりあえず頑張っれと言いたくなりますが、
まずは、本人の学校にいきづらい感覚を理解するということがまず大事になります。
「なんかしんどいんだな」
「体が動かないんだな」
「それってきっとつらい事なんだろう」
そんな感覚を理解したうえで、お子さんとできることを確認していくことが大切です。
それは、何もしなくてもいいということになるのではなく、お子さんの状態に合わせて、できることを考えていくことが大切です。
お腹が痛くなったり、熱が出たりといった体に症状が出ている時は、家でゆっくり休んだらいいと思いますし、
体調が安定しているなら、少しずつ、別室登校であったり、参加できる授業を参加したり、
行事だけに参加したりなど対応してみるのもいいかもしれません。
どうしても保護者としては焦ってしまいます。
時には学校の先生も焦ってしまったりもします。
しかし、焦って無理に動けば動くほど親子関係がこじれやすくなったり、学校に行きづらい状態が長続きします。
だからといって何もせず、学校との関係が薄くなっていくのも心配ですよね。
生活のリズムやゲームの時間の制限などの家庭のルールを決めたり、何気ない親子の会話などは、
いつも通りしていけるようにしましょう。
保護者が一人で抱え込まずに、
先生や、専門家と相談しながら、できることを考えていきましょう。
ここケットでは、そういった対応をいっしょにお話ししたり、
お子さんの対応もしたりします。
学校に行けなくなっている時は、まずは、苦手なことを克服する前に、
気持ちの回復が大事になってきますので、
カウンセリングなどは有効だと考えています。
回復してきた時に、次に何が必要か考えていっています。
中学生で不登校になった時の対応方法は?
中学生で不登校になった時の対応方法は?
今まで順調に登校できていたお子さんが、(周りからみれば)突然、学校に行きづらくなったりします。それは、徐々にだったり、ある日からまったくだったりします。
初期の状態は、数日はそっとしておくと学校に行けるようになったり、
保護者が学校に送ったりすると行けるようになったりと色々な経過をたどりますが、それでも、学校に行けない状態が続いてくると、保護者の方も、だんだん焦ってきます。
焦ると本人にも色々言ってしまったりします。
時にはお小遣い抜き、もしくはプラス。ゲーム禁止など・・
それは、思春期のお子さんには、一時的な効果があっても、その効果はあまり続きません。
「学校に行かないと~できない」は、
一時的には頑張れますが、それ以上に学校に行くのがしんどくなると、
だったら~はもういい。
と他のできそうな事を探したり、何もしない無気力状態になったりします。
すると、保護者としては、何も言えなくなってしまって、
もう勝手にしなさい・・・なんて事になります。
そうならないためにも、まずは、日常は普通に接していきましょう。
しかし、平日は、家でできることがあれば、何かをさせてあげるのもいいかもしれません。
それは、勉強だけでなく、家でのお手伝いでもいいかもしれません。
お手伝いも嫌がるかもしれないですね。
その時は、いっしょに散歩したり、テレビを見たりするのはどうでしょうか?
まずは、今のお子さんの状態を認めてあげること、そのうえで、できることが何か?
親子でゆっくりとお話できたらいいですね。
地域によっては、公的機関の別室登校や、適応指導教室などがあります。まずは、学校や専門家などに相談しながら、お子さんが、無理のないところから初めて、少しでも続けられることを考えていきましょう。
将来の事を不安に思われるかもしれませんが、焦ってお子さんとの関係がこじれる方が、より時間がかかります。
また、大人への道筋は一つではありません。
色んな道があると思えるようになれれば、保護者の方も、お子さんも、気持ちが楽にあるかもしれませんね。
ここケットでは保護者へのお子さんへの関わりや、お子さんへのカウンセリング、
また、次の進路について一緒に考えるなどの対応をしています。
高校で不登校になったらどうすればいい?
高校で不登校になったらどうすればいい?
高校生で不登校になる場合は、環境の劇的な変化についていけなかったり、
なんとなく無気力になってしまったりなど、
今まで中学校でなんとかやれていたことが、
上手くできなくなってしまう時に不登校になりやすいです。
中学校までの一番の違いは、単位を修得することで、
それにはレポートやテスト、出席日数などが絡んできます。
また学校の先生との関係も大事ですが、
中学校とはまた違った関係を築くので、
なかなか今までのように細々と相談できる状態になるのには時間がかかります。
高校ではそういった状況で、
学校行けない=進級できない=留年するor退学する
といった図式ができやすくなってきます。
だからといって高校を安易にやめてしまうと、
どこにも所属しないという状態になってしまいます。
そうするとあっという間に時が流れてしまいますので、
できる限り、高校で何ができるのか学校と話し合う必要があります。
学校によっては柔軟に対応してくれるところもありますが、
申し出ないと対応してくれないところが多かったりします。
できる限り高校で残れる手段を模索しながら、
次の進路も探しておきましょう。
その時は、本人の意思も尊重して考えて見ましょう。
特に高校からの進学・進路先は、
本人の自己決定が大事になってきます。
保護者や先生が決めてしまうと、
上手くいかないと、他者へ責任が転嫁されてしまいます。
自分で決めたことを、保護者や学校がサポートする。
そんな関係づくりを意識しましょう。
また、次の転学先を考える必要もあります。
その選択肢として、通信制や単位制がありますが、
どうすれば単位が取れるのか?
それは無理なくできるのか?
どんな人に出会いたのいのか?
など整理しておかないと後でそんなつもりはなかったと思うことがありますので、
見学などは入念にしておいた方がいいでしょう。
また高卒認定試験を受けて大学受験をするという方法もあります。
就職するのなら、若者サポートステーションを活用するという方法もあります。
どちらにしても、高校から次の進路は、空白にならないように、
次が決まってから変わるようにしましょう。
正解は一つではありませんので、
本人のペースにも寄り添いながら考えていきましょう。
ここケットでは、高校生の不登校のカウンセリングやアセスメントも行っています。
また、転学後のカウンセリングも継続して実施しています。
不登校の目標設定とは?
学校に通っていても、
子どもの最終的な目標は、成長して大人になっていくことですよね。
ここでいう大人になるとは?
自分らしく自分のペースで、
社会と適度な距離をとりながら、
自分でできることは、ある程度がんばりながら、
頼れる大人には適度に頼り、自律的に生きていけるようになることです。
この“適度”にとか“自分らしく”というのは、
人それぞれになってきますよね。
学校に行くいかないに関わらず、
子どもの生活は、その大人への成長過程なわけです。
その過程をどう過ごしていくかが大事になってきます。
日々のお子さんの様子を見ていると、
そんな風に思えないことも多いかもしれませんが、
まず、このことは忘れないでおきましょう。
そうはいっても、
学校は身近な学習できる場所であり、
社会体験ができる場所でもあります。
チャンスがあれば、学校に通うというのは、選択肢の一つではあります。
なので、学年が変わる時、学校が変わる時などの
節目で学校に行けるかどうか試してみていいかもしれません。
ですが、いわゆる一般的な学校に通うだけが唯一の選択肢ではありません。
むしろ、毎日、学校に通わないことによって
拘束時間がなくなるので、色んなことにチャレンジできたり、
自身の考えをまとめたり深めたりするいいチャンスと
考えることもできます。
また、特に高校生以上になると、通えるところはたくさんあります。
通信制高校や単位制高校も現在ではたくさんあります。
オンライン対応もこの数年間で飛躍的に増えてきました。
決して逃げ場のない袋小路にいるわけではありません。
とはいっても、生活習慣やゲーム依存や発達障がいや精神疾患など、
気になる問題は様々ありますよね。
でも、まずは、毎日ご飯を食べて
誰かと話して、少しは笑って、お風呂に入って、しっかり寝る。
少なくとも保護者や周りの大人がその生活を自らできて、
お子さんも少しでもできるようになって、
外部の誰かとつながっている。
そんな、子どもを見守る状況を作っていきましょう。
学校に行ってない。
毎日、勉強しない。
将来、やりたいことがない
「~ない」 からといって、お子さんの人格すべてを否定するものではありませんし、
保護者の方の子育てすべてが否定されるわけではありません。
すべての道は大人への道につながっています。
あきらめずに、あせらずに少しずつできることをやって、
日々の生活を過ごしていきましょう。
また、できる範囲で、専門機関との連携がとれていると、
より、安心して過ごせると思いますので、そういった専門機関も探してみましょう。
ここケットでは、そんな専門家になれたらと思いながら日々活動しています。
筆者:子どもの心と発達の相談ルーム「ここケット」代表:大畑豊(臨床心理士・公認心理師)
スクールカウンセラー・保育園・大学講師などもしています。
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